自己破産とはー制度の仕組みと手続きでできること

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
引用元:破産法(法令検索e-GOV)
自己破産は、破産法に基づき借金をゼロにできる債務整理です。弁護士に相談すると、弁護士が裁判所に申立る。そして、裁判所が借金を返済できないと判断した場合に借金を返済しなくても済むよう手続きされます。
自己破産の仕組み

自己破産はいきなり借金がゼロになるわけではなく、以下2段階で手続きされます。
時系列としては同時進行で行われますが、厳密には破産が決定してから免責が始まる。免責が認められたら返済義務がなくなります。
何ができる?自己破産の効果と対象外のもの

自己破産するとほぼ全ての借金がゼロになります。金額は決まっていないので、高額な借金が残っている場合も利用可能。債権者からの催促はなくなり、今後返済する必要もなし。借金に悩む日々から解放されます。
ただし、以下は自己破産対象外です。
税金
健康保険料
年金
罰金や科料
養育費
故意の損害賠償など
※科料とは・・・犯罪に対する刑罰のひとつ。金額は1,000円〜10,000円未満。10,000円以上の場合は罰金という。
税金や年金の支払い、罰金などは自己破産できません。養育費も自己破産の対象外となるので、ご自身が自己破産したい項目が含まれていないかご確認ください。

また、上記項目の支払いにお困りの方は、以下窓口に相談すれば支払い期限延長・免除などの手続きができる場合があります。督促が届いている方は、一度窓口に相談するのもおすすめです。
項目 | 問い合わせ先 | 窓口の検索方法 |
|---|
税金 | 国税庁 | 納税に関する総合案内 |
健康保険料 | 役所 | お住まいの地域を管轄する役所にお問い合わせください。 |
年金 | 日本年金機構 | 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 |
罰金や科料 | 検察庁 | 対象となる事件を管轄する検察庁に相談すると、分割払いにできる場合があります。 |
養育費 | 元配偶者または家庭裁判所 | まずは元配偶者に相談。それでも解決しない場合は家庭裁判所にお問い合わせください。 |
損害賠償金 | 被害者または弁護士 | 直接被害者に相談する。もしくは弁護士にご相談ください。 |
どんな人に向いている?自己破産が良い方

以下の方は自己破産が向いています。ご自身が自己破産向きの悩みを抱えているかご確認ください。
借金が多すぎる
無職または定職に就いていない
手放せない財産が少ない
反対に、借金を返済できそうな方は自己破産に向いていません。減額すれば返せそうな方は個人再生の方が適している可能性があります。
借金が多すぎる

収入や財産に対し、借金が多額な方は自己破産以外の手続きでも解決できない場合があります。そのため、高額な借金にお悩みの方は自己破産が向いています。
法律的なルールはありませんが、一般的に50万円以上の借金が対象とされています。50万円以下でも自己破産することはできるので、ご自身に合った手続きに悩んだ時は弁護士または司法書士に相談されるのがおすすめです。
無職または定職に就いていない

自己破産は職業・生活スタイルに関係なく利用できます。将来の利息をカットできる任意整理や元金を減額できる個人再生は、安定した収入がある方が利用できる、または利用しやすい手続きです。無職や定職に就いていない方は申立が通らない可能性が高い。
そのため、無職などで安定した収入がない方が債務整理するには、ほぼ自己破産一択になります。
手放せない財産が少ない

手続きで持ち家や預貯金などを失うことになる自己破産。反対に財産が少なければ、自己破産をしてもそこまで生活に影響しないケースがあります。
財産とは現金だけでなく、車や家、家具・家電や株のこと。全ての財産を手放すわけではありませんが、所有している財産が少ない方が自己破産に適しているでしょう。
自己破産を選ぶメリット

借金がゼロになる
受任通知で催促がなくなる
99万円までの現金は残せる
取り立て訴訟 / 差押え対策になる
法テラスで費用を立て替えてもらえる
生活を立て直せる
自己破産はこれらのメリットがあります。借金がゼロになることで一から生活を始められるため、人生を再スタートしたい方に適した債務整理です。
借金がゼロになる

他の債務整理でできることは利息カットや元金の減額までですが、自己破産なら借金をゼロにできます。返済できる見込みがない方や、高額すぎて手のつけようがない方は、借金返済をなくすことで生活が楽になるかもしれません。
受任通知で催促がなくなる

意外と見落としがちなのが、借金返済の催促がなくなること。返済日になると消費者金融などの債権者から連絡が来ますが、返済が遅延すると催促は頻繁になります。また、催促の連絡は受け取る側もストレスを感じやすく、精神的に不安定になることも。
気持ちに余裕がなくなると日常生活にも支障をきたすことがあるため、催促がストップするのは自己破産を行う中でも大きなメリットです。
99万円までの現金は残せる

自己破産というと何もかも手放さなければいけないと思う方がいらっしゃいますが、実は99万円までの現金を残すことができます。99万円を超える分は手続き上手放すことになりますが、財産が少ない場合、そもそも所有している現金が99万に満たないことも。
また、99万円残せれば当面の生活には困らないはずです。生活費の残しながら手続きできるので、自己破産した後も無一文になることはありません。
取り立て訴訟 / 差押え対策になる

すでに裁判や給与差押えが進んでいても、自己破産すれば手続きがストップします。今後入る収入が勝手になくなることはないので、安心してお手続きいただけます。
ただし、差押さえられた給与が債権者のもとに渡った後に自己破産しても、差押さえられた金額は取り戻せないことがほとんどです。取り立て訴訟や差押えの恐れがある方は、債権者に現金が渡る前に自己破産された方が良いかもしれません。
法テラスで費用を立て替えてもらえる

自己破産するには、弁護士費用がかかります。「弁護士費用がないから自己破産できない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、法テラスを利用すれば費用を立て替えてもらえます。
法テラス経由で自己破産する場合の費用は以下が目安です。
債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|
1~10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
11~20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
引用元:法テラス
(※自己破産する内容によって実際にかかる費用は異なります。)
法テラスが立て替えてくれた金額を月々5,000円〜10,000円程度で分割払いすることになります。お金がないから、と自己破産を諦める必要はありません。
また、法テラスは利用条件があるため、直接弁護士にご依頼いただくことも可能です。事務所によっては弁護士費用分割に対応しているので、詳しくは相談したい弁護士事務所にお問い合わせください。
自己破産を選ぶデメリット

クレカやローンを利用できなくなる
一部の財産が処分される
持ち家は手放すことになる
官報に自己破産の事実が載る
制限される職業がある
連帯保証人に請求が行く
浪費やギャンブルが原因だと利用できないことも
借金がゼロになる自己破産ですが、反面デメリットもあります。リスクを踏まえたうえで自己破産したいかご検討ください。
クレカやローンを利用できなくなる

自己破産すると、信用情報に「事故」登録されるため、クレカやローンを一定期間利用できなくなります。対象となる期間は免責決定から5年、または手続き開始決定から7年。何がどれほど利用できなくなるかは後ほど詳しくご紹介します。
一部の財産が処分される

99万円を超える現金は処分対象です。預貯金は20万円以上が処分されるので、現金を口座に移せばよいということでもありません。その他、車や保険解約返戻金も処分の対象。
自己破産を検討される際は、弁護士に残せる財産を確認してから手続きを進めましょう。財産が多い方は個人再生の方が向いているケースもあります。
持ち家は手放すことになる

自己破産すると持ち家に住み続けることはできません。住宅を残して債務整理したい方は住宅ローン特則を利用できる個人再生をお選びください。
また、賃貸物件にお住まいの方が家を追い出されることはありません。しかし、新規申し込みする際、審査に落ちる確率はあがります。賃貸にお住まいで引越しを考えている方は自己破産がデメリットになることがあります。
官報に自己破産の事実が載る

官報とは、国が発行する機関紙で、自己破産すると破産者の氏名・住所・いつ破産したかなどの情報が掲載されます。官報は誰でも閲覧できるため、ご近所や会社に自己破産がバレるのを嫌がる方もいらっしゃいます。
しかし、誰でも見られると言っても官報を頻繁に閲覧している人は少ないので、私生活に影響することはあまりないかもしれません。
制限される職業がある

自己破産すると一時的に資格制限される職業があります。上記の他、士業や旅行会社の管理者やツアー企画・手配している方(旅行業務取扱管理者)も対象。
4〜6ヶ月で資格は自動で戻りますが、期間中や休職や配置を変えてもらうなどの対策が必要です。
連帯保証人に請求が行く

保証人付きの借金がある場合、自己破産すると保証人に一括請求が行きます。保証人に何も告げずに手続きするとトラブルに発展することがあるので、必ず保証人に連絡してから利用するようにしましょう。
一括請求が来た分を保証人が払えないとなると、保証人自身も自己破産することになるケースも。自己破産は自分だけの問題ではありません。周囲への相談と配慮を忘れないようご注意ください。
浪費やギャンブルが原因だと利用できないことも

自己破産は浪費やギャンブルでは申立が通らないことも。ただし、95%以上は裁量免責で自己破産が認められます。
(免責許可の決定の要件等)
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
引用元:破産法(法令検索e-Gov)
裁量免責とは、破産法で定められた制度。裁量免責により浪費やギャンブルが原因でも自己破産できるとなった場合、反省文や家計簿を提出し、同じ過ちを犯さない意思を示します。
利用条件|自己破産はどのような方が選べるのか

自己破産はどのような方が利用できるのか。大まかな利用条件は以下です。
返済できないと判断される
免責不許可事由(禁止事項)に該当しない
裁判所が借金を返済できないと判断し、自己破産の対象であれば手続きできます。そこで、自己破産の利用条件をご紹介します。ご自身が自己破産できるかどうかの確認にご活用ください。
返済できないとされる基準

(破産手続開始の原因)
第十五条
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
引用元:破産法(法令検索e-Gov)
返済できないという判断は、このように破産法に基づき行われ、手続き上「支払不能」と呼ばれます。支払い不能とされる基準は以下。
借金が手取り年収の2〜3倍以上
生活費を切り詰めても3年で返済できる見込みがない
すでに滞納しており信用情報に事故登録されている
このような状態は支払不能とされ、自己破産できることが多いです。
自己破産の免責不許可事由とは?

免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)に該当すると、原則として自己破産できません。そんな免責不許可事由は以下。
項目 | 具体例 |
|---|
浪費・ギャンブル | パチンコ・競馬・FX・暗号資産・ホスト・キャバクラ・買い物依存 |
財産を隠す | 口座には行っているお金を家族名義の口座に移す・自己破産前に車の名義変更する |
偏頗弁済(へんぱべんさい) | 親に借りたお金や保証人付きの借金だけを優先的に返済する |
虚偽の申告 | 収入・財産・借入先の申告に嘘がある |
自己破産歴 | 7年以内に自己破産している |
これらに該当する場合、原則自己破産できません。しかし、裁量免責で多くの場合は手続きできるので、まずは弁護士に相談されるのがおすすめです。
自己破産の条件など詳細は「自己破産できる条件・できない条件を総整理 — 免責不許可事由とは」をご覧ください。
NG行為|自己破産前後に注意したいこと

自己破産できる条件をクリアしているので、これから手続きしたい。そんな方にご注意いただきたいことがあります。場合によっては自己破産できなくなることもあるため、間違ってNG行為をしてしまわないようご確認ください。
保証人がいる借金などを優先的に完済する

自己破産すると連帯保証人に一括請求が行くため、手続き前に保証人付きの借金だけ優先的に返済したくなるかもしれませんが、一部の借金だけ完済することは禁止されています。
保証人付きの借金の他、親から借りたお金だけ先に返したいと考える方もいらっしゃいますが、これもNG。
一部の借金だけを優先して返済・完済することは「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、自己破産で禁止されている行為です。
(特定の債権者に対する担保の供与等の罪)
第二百六十六条
債務者(相続財産の破産にあっては相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者を、信託財産の破産にあっては受託者等を含む。以下この条において同じ。)が、破産手続開始の前後を問わず、特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって債務者の義務に属せず又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをし、破産手続開始の決定が確定したときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用元:破産法(法令検索e-Gov)
自己破産が認められなくなる可能性があるだけでなく、場合によっては拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方の罪に問われることも悪気なく行ってしまわないよう注意してください。
手続き前に財産の名義を変更する

「自己破産すると家を手放さなければいけないから」と、ご自身名義の家を他の方に変更したくなるかもしれません。しかし、自己破産をするからと名義変更するのは財産隠しに該当し、名義変更が無効化されます。
故意に財産を隠したとされると、免責不許可事由に該当し、自己破産できなくなる可能性もあるため注意が必要です。
種類|自己破産は同時廃止と管財事件の2種がある

自己破産は同時廃止と管財事件の2種類。それぞれの利用条件や特徴を解説します。同時廃止と管財事件は、ご自身の希望で選ぶことはできません。裁判所により振り分けられるので、ご自身ならどちらに該当するか確認しておくのがおすすめです。
同時廃止とは

換金できる財産がほとんどない場合に適用される同時廃止。自己破産する約7割の方が利用される手続きです。
手続きにかかる費用(裁判所に払う金額)は約2万円。裁判所への支払いは申立時に一括で払う必要があり、支払ったお金は官報広告費や切手代として使用されます。
同時廃止は自己破産の調査を行う破産管財人が不要で、おおよそ3〜6ヶ月かけて行われます。管財事件と比べて短期間でできる、シンプルな手続きです。
管財事件とは

20万円以上の財産がある方が適用される管財事件。重い免責不許可事由がある時にも利用され、自己破産する方の約3割が管財事件を行っています。
管財事件は少額管財・通常管財の2つに分けられ、少額管財にかかる裁判所費用は20万円〜。通常管財は50〜700万円。同時廃止と違い、裁判所への支払いも多いのが特徴です。
また、同時廃止と違い、管財人面接や集会が参加する債権者集会が開かれます。そのため、同時廃止より手続きが複雑で時間がかかるところも管財事件ならではです。
さらに、財産を確認する破産管財人が必要で、期間は6ヶ月〜1年以上。同時廃止の倍ほどの時間をかけて手続きが進みます。
弁護士に依頼すると「少額管財」になりやすい

通常管財の場合、裁判所に払う予納金(よのうきん)は50万円以上ですが、弁護士に代理人を依頼すると少額管財になることがほとんど。少額管財になると、予納金は20万円で済みます。
本人が申し立てると通常管財になることがありますが、弁護士に依頼するだけで自己破産の費用を30万円以上抑えることができます。
何が残せる?自己破産をしても守れる財産

自己破産すると一定の財産を手放すことになりますが、全てが処分されるわけではありません。自己破産しても残せる財産のことを自由財産と言いますが、自由財産の対象となるものは以下です。
自由財産(残せる財産) | 上限目安(東京地裁の場合) |
|---|
現金 | 99万円まで |
預貯金 | 20万円以下 |
自動車(処分見込み価額) | 20万円以下(古い車や軽自動車は残せる) |
生命保険の解約返戻金 | 20万円以下 |
退職金(支払い見込み額の1/8相当) | 20万円以下(=退職金見込み160万円以下) |
退職金(1/8が20万円を超える場合) | 8分の7手元に残せる(=退職金の87.5%) |
家財道具・生活用品 | 原則全て |
当面の生活費 | 必要な分は申立+自由財産拡張で残せる |
ここでは東京地裁の場合をご紹介しています。自由財産の基準は裁判所によって異なるので、ご自身が自己破産した際残せる財産は、利用する裁判所にご確認ください。
自由財産の拡張

自己破産する方の生活状況や、もともと所有していた財産の種類・金額によっては、自由財産を拡張できることがあります。必ず拡張できるわけではありませんが、「拡張しないと自己破産する方が生活を立て直せない」と判断された場合は可能。
拡張するには裁判所に拡張しなければいけない理由や事情を説明することになります。
また、同時廃止は自由財産の拡張が認めれらません。拡張できる可能性があるのは管財事件のみなので、ご注意ください。
いくら?自己破産の費用相場

自己破産する際の費用相場は以下。
費用項目 | 同時廃止 | 少額管財 | 通常管財 |
|---|
弁護士費用(着手金+報酬) | 30〜50万円 | 40〜60万円 | 50〜100万円 |
裁判所予納金 | 約2万円 | 20万円〜 | 50万円〜(法人の場合70万円〜) |
官報広告費 | 約1.1〜1.9万円 | 約1.5万円〜 | 約1.5万円〜 |
費用合計(目安) | 30〜50万円 | 60〜80万円 | 100万円以上 |
最も費用を抑えられるのは同時廃止。次に少額管財です。負債額えが1億円以上の場合、自己破産の費用相場は200万円程度になります。
お金がなくても自己破産できる理由

手元にお金がなくても自己破産が可能です。費用の支払いが厳しい場合、以下手段で手続きされます。
法テラス:収入・資産が基準を満たしていれば利用可能。弁護士費用を立て替えてくれます。支払いは月々5,000〜10,000円程度(分割払い)
弁護士事務所の分割払い:事務所によって回数は異なるが、基本は3〜12回の分割払いになります。
受任通知後のプール金:借金返済がストップしている期間に費用を積み立てます。(任意整理も同じ仕組み)
法テラスの利用条件は、お住まいのエリアによって違います。東京23区にお住まいの場合、2人暮らしなら(収入基準:276,100円・資産基準:250万円以下)の方が法テラスを利用できます。
法テラスが利用できるかどうかは、無料相談を活用してご確認ください。

また、法テラスを希望しても利用できなかった場合は、弁護士事務所の分割払いを活用するのもひとつ。基本的は3〜12回払いで弁護士費用を支払う仕組みです。
費用が不安な方は依頼する際、費用や支払い方法も確認されるのがおすすめです。
自己破産は金銭的に苦しい状況の方が利用する手続きです。弁護士費用に悩まれるのはみなさん同じ。費用が不安な時は、法テラスや弁護士に相談すればアイデアをくれるはずなので、ひとり我慢せずに一度相談されてみてはいかがでしょうか。
流れと期間|自己破産の手順と必要な時間

自己破産した場合、どのような流れで手続きされるのか気になりますよね。また、手続きにかかる時間を知っておくことで、自己破産を始めた後の生活がイメージいただけると思います。
そこで、自己破産の流れと手続き全体にかかる時間をご説明します。
自己破産の流れ

ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|
ステップ①:相談・依頼 | 借入一覧・家計表・身分証を弁護士事務所に持参し、正式に依頼する | 即日〜1週間 |
ステップ②:受任通知の送付 | 各債権者に受任通知を発送。債権者に届いた時点で返済催促がなくなる | 当日〜数日 |
ステップ③:取引履歴の取り寄せ・引き直し計算 | 債権者から取引履歴を取り寄せ、引き直し計算で過払い金がないか確認する | 1〜3ヶ月 |
ステップ④:申立書類の作成 | 借入経緯・家計収支・財産目録など、30種類以上の書類を揃える | 1〜3ヶ月 |
ステップ⑤:申立し、裁判官が面接する(即日面接) | 同時廃止または管財事件に振り分けられる | 申立から3営業日以内 |
ステップ⑥:自己破産の開始決定 | 同時廃止ならこの時点でほぼ手続き終了。管財事件ならここから本格的に手続きがスタートする | 即日〜2週間 |
ステップ⑦:管財人面接(管財事件のみ) | 弁護士の管財人が事情聴取する | 1ヶ月後 |
ステップ⑧:債権者集会(管財事件のみ) | 管財人が業務の進捗を報告する(所要時間:10〜15分程度) | 面接から1〜2ヶ月後 |
ステップ⑨:免責審尋 | 裁判官から数問の質問を受ける面接(所要時間:5〜10分程度) | 自己破産開始決定から2〜4ヶ月後 |
ステップ⑩:免責許可決定→確定 | 官報掲載から2週間で確定 | 審尋確定から1〜2ヶ月後 |
ステップ⑥の自己破産廃止決定までは同時廃止・管財事件ともに大まかな流れは同じ。以降、管財事件は同時廃止にはない手続きが進められます。ステップ⑥までは約6ヶ月。ステップ⑦〜ステップ⑩までに6ヶ月かかるイメージです。
手続き全体にかかる期間

同時廃止:申立から免責確定まで3〜6ヶ月
管財事件(少額管財・通常管財):6ヶ月〜1年以上
弁護士への依頼から含めると+6ヶ月、同時廃止は1年。管財事件は1年半が目安です。
資格制限と復権|自己破産すると制限される職業

任意整理や個人再生、特定調停など他の債務整理をしても仕事に影響することはありませんが、自己破産に限っては職業によって資格制限が発生します。
資格制限があるからと言って仕事を辞める必要はありませんが、一時的に休職したり配置部署を変更する等の対策が必要になります。
自己破産で制限される代表的な職業

業界 | 職業 |
|---|
警備関連 | 警備員 |
保険関連 | 生命保険募集人・損害保険代理店・保険外交員 |
法律・会計関連 | 弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士・社会保険労務士 |
不動産関連 | 宅地建物取引士・不動産鑑定士 |
その他 | 旅行業務取扱管理者・後見人・遺言執行者 |
上記で紹介した職業の方は、自己破産の手続きで破産開始が決定すると資格制限が始まります。自己破産の手続きそのものは会社にバレずに行える可能性がもありますが、資格制限に該当する方は会社に黙って自己破産するのは現実的ではないかもしれません。
影響しない職業

先ほどご紹介した職業以外の方は、資格制限もなく自己破産しても仕事に影響しません。会社員や医師、看護師や教師、サービス業の方も資格制限がないので安心してお手続きいただけます。
ただし、公務員の中でも以下は資格制限があります。該当する職業の方はご注意ください。
人事院の人事官
公正取引委員会の委員
教育委員会の委員
公証人
都道府県の公安委員
制限の復権

破産開始が決定すると資格制限されますが、基本的には3〜6ヶ月で復権します。その後は資格制限もなく、自己破産前と同じ仕事も続けられるので、制限がかかるのは一時的です。
自己破産しても退職する必要はない

資格制限があるからと言って、退職する必要はありません。ただし、4〜6ヶ月程度は休職等の対策が必要になるため、職場への相談は必須でしょう。
職場によっては休職ではなく、部署異動などで対処されることもあるようです。いきなり資格制限されると会社での心象も悪くなるため、手続き前に職場にも相談するなど、配慮を忘れないようご注意ください。
周囲の影響|自己破産は家族・家・仕事に影響するのか?

借金返済が難しく自己破産を検討している方の心配事として、周囲への影響があると思います。家族や家、仕事への影響や問題が起きた際の対処法をご紹介します。
家族への影響

疑問 | 回答 |
|---|
配偶者の信用情報に登録されるか? | されません。信用情報に登録されるのは本人のみ |
配偶者の給料・財産は処分されるか? | されません。家計を共有していても家族の給料や財産には影響しません |
子供の進学・就職に影響するか? | しません。自己破産したご本人が学生ローンの保証人になれないだけ |
子供は奨学金を借りられる? | 借りられる。保証人は機関保証や、親以外の保証人で契約できる |
ただし、家族に連帯保証人がいる場合、自己破産すると借金の残りを一括返済するよう請求が行きます。家族以外が保証人の場合は、保証人になっている方に請求が行くのでご注意ください。
持ち家・賃貸への影響

ケース | 状況 |
|---|
持ち家(住宅ローンが残っている場合) | 原則処分。住宅ローン特則が利用できるのは個人再生のみ |
持ち家(家の価値より住宅ローンの残りの方が多い場合) | すぐに売却されるとは限らない。任意売却で住み替えられることも |
賃貸物件 | 基本はそのまま。ただし家賃を滞納していた場合は引越しが必要になることも |
新規の賃貸物件 | 信用情報に「事故」登録されるため、信販系保証会社を使う物件は審査に落ちることがある |
※任意売却とは・・・住宅ローンなどの返済が難しくなった際、金融機関の同意をもらい競売にかけられる前に売却する手続き。競売より高く売れることがあり、住宅ローンの残務を減らせる。
賃貸物件を契約する際、保証会社は信販系(オリコ・アプラスなど)と独立系の2パターンがあります。自己破産すると信販系を使う物件は審査に落ちる可能性がありますが、独立系なら審査に影響しません。
物件を探す際、不動産屋に事情を説明すれば独立系保証会社を使う物件をピックアップしてくれるはずです。物件探しの時間短縮のためにも、事前に伝えておくのがおすすめです。
仕事への影響

周囲への影響が気になる方は「債務整理すると家族にバレる?影響の範囲と対策を解説」をご参照ください。
自己破産|クレカやローンの影響と再スタート

自己破産すると、クレカやローンを利用するための審査に使用される信用情報機関に「事故」登録されます。信用情報に事故登録されると、これまで使用していたサービスが一定期間使用停止になるだけでなく、新規契約も不可に。
事故登録される信用情報機関と、登録される機関は以下です。
KSCの事故登録は以前より短くなった

銀行や信用金庫、保証会社の利用に影響するKSCは、以前登録期間が10年間でした。しかし、2022年11月に登録期間を7年に短縮。自己破産によるブラックの期間が少し緩和されています。
また、KSCのみ登録開始時期が異なります。自己破産は破産が決定してから免責手続きに入りますが、CIC・JICCは免責決定から5年。KSCは破産手続き開始決定から7年です。
他の信用機関より早く登録されるため、実際の体感はCICやJICCより1年〜1年半後にKSCの事故登録が解除されるイメージになるはずです。
5〜7年利用できなくなること

これまで利用していたクレカだけでなく、新規契約もできなくなります。その間は家族が本会員として契約するクレカの家族カードや、銀行口座から直接利用料を引き落とされるデビットカードで代用してください。
また、後払いなどは利用できることもあります。
スマホは分割でなく一括なら購入可能なので、スマホの買い替えには注意が必要です。
債務整理とブラックリストの関係は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」をご確認ください。
違い|自己破産と他の債務整理の相違

項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|
減額の程度 | 将来利息のカット | 元本を最大10分の1に圧縮 | 原則全額免除 |
裁判所 | 不要 | 必要(地裁) | 必要(地裁) |
手続き対象の選択 | 選べる | 選べない / 全て対象 | 選べない / 全て対象 |
住宅ローン | 影響なし | 住宅ローン特則の利用条件をクリアしていれば残せる | 原則処分 |
官報掲載 | なし | あり | あり |
資格制限 | なし | なし | あり(警備員や保険、不動産関係など / 3〜6ヶ月で復権) |
信用情報の登録期間 | 約5年 | 5〜7年 | 5〜7年 |
手続きにかかる費用相場 | 2〜5万円(1社あたり) | 50〜80万円 | 30〜100万円(管財事件は+20〜50万円) |
手続きに最も費用がかかるのは自己破産ですが、借金を全額免除できるのは自己破産だけ。借金額が大きい方や返済の見込みがない場合は自己破産を検討するのもひとつです。
家を残したい・収入がある方は個人再生が良い

自己破産は原則として持ち家を手放すことになります。ご自宅を残したい方は個人再生の方が向いていることも。また、賃貸物件にお住まいの場合、家賃の滞納がなければこれまで通り住み続けられます。
お悩みの状況 | おすすめの債務整理 |
|---|
元本を返済できるが、利息の支払いは厳しい | 任意整理 |
元本を返済できそうにない、しかし持ち家は手放したくない | 個人再生 |
元本も返済できないし、家も必要ない | 自己破産 |
病気や失業で収入が途絶えた | 自己破産 |
どの手続きにするか迷ったら、弁護士の無料相談をご活用ください。あなたの状況、希望に合わせて最適な手続きをアドバイスしてくれます。
また、手続きそれぞれの違いは「【比較表付き】任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」をご覧ください。本記事より、さらに詳細に違いを解説しています。
よくある失敗例と対処|自己破産を後悔しないために

自己破産をしてから「思っていたのと違った」と後悔しないよう、手続きに関してよくある失敗例とその対処法をご紹介します。知らずに行動して手続きが不利にならないよう、事前に確認しておきましょう。
申立直前にギャンブルや浪費を続けてしまった

自己破産を始める1〜2年以内にパチンコ・FX・買い物依存などで借金を作っていると、自己破産が不利に。費用を抑えられる同時廃止ではなく、管財事件に振り分けられ、免責調査が厳しくなる可能性が高くなります。
対処法:自己破産を決めたらすぐにギャンブルや浪費を辞める。また、自己破産の際は反省文を提出し、有利に手続きできるようにしましょう。
借金の一部を先に完済した(偏頗弁済:へんぱべんさい)

親に借りた分だけ先に返済 / 完済する
保証人がいる借金だけ先に返済 / 完済する
上記のように、借金の一部を優先して返済・完済するのは偏頗弁済と呼ばれる禁止行為です。自己破産が否認されかねないため、どのような理由があっても一部だけを優先して返済してはいけません。
一部の借入を隠す

家や車の名義を自己破産前に変更するのは禁止です。手続きを管理する管財人が取り戻し請求を行い、名義変更は取り消されるため、結果自己破産する方の財産としてカウントされます。
自己破産の過去2年分は調査対象になるため、最近家や車の名義を変更した方はご注意ください。
万が一2年以内に家や車の名義を変更した方は事前に弁護士に相談するのがおすすめ。名義変更を隠していてもバレるので、先に伝えておいた方が心象が良いですし、なにかアドバイスをもらえるはずです。
ギャンブルや浪費が原因なのに反省文を提出しない

本来ギャンブルや浪費が原因の借金は自己破産対象外です。反省文・家計簿・生活改善の予定や現状を提出すれば、裁量免責が認められることがあります。
「本当は自己破産できないはずだが、特別に配慮されている」という意識を持ち、誠心誠意反省していることを伝えてください。
反省文の書き方は「自己破産における反省文の例文、ポイントは反省に徹しろ」をご参照ください。猛省していることをアピールすることがポイントです。
自己破産や債務整理についてさらに詳しく知りたい方へ

自己破産や債務整理について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。きっとあなたのお役に立つはずです。